LCCの登場で、かなり安い料金で飛行機の旅を楽しむことができるようになりました。安い料金の理由のひとつが座席の狭さ。同じ飛行機でもLCCの座席数は、既存の航空会社よりも多く配置されていて少し狭い!女性は問題なくても、ちょっと大柄な男性にはちょっと厳しい。LCCに乗って苦しい2時間のフライトを体験した人もいるのではないでしょうか。
目次
座席の広さやシートピッチの数センチの差
飛行機の座席の広さやシートピッチ(座席の前後の間隔)は、わずか数センチの差が座り心地に大きく影響します。
狭くてもいから狭い座席で我慢するのか、割増料金を払って広い座席にグレードアップするのか?よく飛行機に乗る人にとっては悩ましい問題です。今回旅行比較ネットでは、国内線各社の座席の広さとシートピッチを比較してみました。
飛行機の座席の広さについて
まず飛行機のシートピッチと座席の広さは、飛行機に座席を何席設置するかによります。航空会社としては、1回のフライトごとにかかる費用(燃料代、人件費などの経費)は、何人お客さんを乗せようとも同じだけかかります。航空会社は、飛行機に設置する座席数と搭乗率が多ければ多いほど儲かる訳です。
LCCの戦略がまさにこれで、通常JALやANAが166席配置する機材に180席設置し、1フライトあたりに乗れるお客さんの数を増やしたのです。当然座席は狭くなりますが、国内線の移動は長くても3時間弱。移動の快適さよりも料金を安くするための選択です。これがLCCの安さのカラクリ。ですので基本的には、座席が広ければ航空券代は高くなるのが鉄則です。
注目の国内線シート
安さで勝負するLCCに対して、既存の航空会社は「機内での快適性」で対抗しようとしています。「機内での快適性」を大きく左右するのは、シートの座り心地や座席の広さ。座席に目を付けた航空会社の、"注目のシート"をご紹介します。
JALは主要機材の座席を刷新中
JALは「JAL SKY NEXT」と題し、2014年5月28日より国内線のサービスを一新しています。飛行機の中でスマホやノートPCなどの無線LAN対応端末があれば、インターネットを楽しむことができる機内Wi-Fiネットワークの導入や、機内照明のLED化など。
「JAL SKY NEXT」が体感できる360度のパノラマ映像はこちら
「JAL SKY NEXT」の中でも注目なのは、国内線の主要機材の座席を刷新したこと。一部小型の飛行機を除く大規模な改修で、普通席のシートも全て本革になり、背もたれを従来と比べて薄くした新型シートを導入。普通席のシートピッチは31インチ(約78.7センチ)と今まで同じながら、シートの薄型化や形の工夫により足元のスペースが最大約5cm広くなり、これまでよりも足もとがゆったりと。
導入路線は東京(羽田)-福岡、大阪(伊丹)、札幌、鹿児島、沖縄、松山線。他、羽田発着の路線に順次導入予定となっています。
JALの「クラスJ」はおすすめ
JALといえば「クラスJ」。ゆったりしたシートがプラス1,000円で利用でき、とってもお得。普通席がガラガラでも「クラスJ」は満席ということもあるほどの人気です。
シートピッチは普通席より約18cm広く、平均47cmのシート幅。深いリクライニング感を得られるシートの形状とレッグレストの付いたワンランク上の座席が、たった1,000円で利用できる「クラスJ」はおすすめです。
「クラスJ」も新シートにより、足もとのスペースが最大5cm拡大しています。
JAL国内線シートの比較
その他JALでは、運賃にプラス8,000円で指定できる「ファーストクラス」があります。
普通席 | クラスJ | ファーストクラス | |
---|---|---|---|
シートピッチ | 約79cm | 約97cm | 約130cm |
シート幅 | 約44cm | 約47cm | 約53cm |
レッグレスト | なし | あり | あり |
フットレスト | なし | なし | あり |
料金 | - | 普通運賃+1,000円 | 普通運賃+8,000円 |
機内レイアウト | - | 機材により異なり機内前方に約20~80席程度 | 最前方に2席ずつ7組の14席 |
適用路線 | 全路線 | 一部の路線(小型機材使用)を除く全路線 | 東京(羽田)発着を中心に随時拡大中(※一部の便のみ設定) |
スターフライヤーは全席広々
既存の国内線のシートピッチがほぼ同じ中、デビュー時から唯一ゆったり座席を配置した航空会社が「スターフライヤー」です。通常164席配置するエアバス社A320の機材を150席にし、全席普通席なのにゆったり広々。LCCがA320の機材に180席配置していることから、違いは一目瞭然です。
コンセプトは"ホスピタリティ"
コンセプトを"ホスピタリティ"としているスターフライヤーのシートは、座席にヘッドレスト・フットレストを装備し、全席個に人モニター、コンセントも設置した豪華な座席として有名です。
LCCを含めた国内線シートの比較
では国内線の普通席のシート幅とシートッピッチを比べてみましょう。
普通席のシート幅はほとんど同じ
国内線の普通席のシートの幅は、既存の航空会社もLCCもほとんど差はなく約42~45cm。使用する機材が同じであれば、横に配置する席数は同じ数になるためです。
前述した「クラスJ」は、横に設置する席数を一席少なくし、幅広いシートを設置しています。
シート幅 | |
---|---|
一般的な普通席 | 約42~45cm |
JAL「クラスJ」 | 約47cm |
普通席のシートピッチは様々
シートピッチは航空会社により多少違いがありますが、総じて既存の航空会社が約79cm前後、LCCが約71cmといったところです。
シートピッチ | |
---|---|
国内線LCC | 約71cm |
一般的な普通席 | 約79cm |
ソラシドエア | 約81cm |
スターフライヤー | 約91cm |
JAL「クラスJ」 | 約97cm |
※WEBサイト等で公表している数値を掲載
シートピッチは、前の座席の背もたれから後ろの座席の背もたれまでというように、シート自体の幅も含めて計測します。その為、同じ航空会社で同じ機材であっても、設置されたシートの形状や厚みにより、足元の広さに数センチの差が出ます。
その為、JALやANAでも古いタイプのシートの場合は足元が狭く感じ、LCCでも薄いシートだと狭さを感じない場合もあります。この辺は同じ航空会社でも、乗った飛行機によって当たりはずれがあります。
シートの工夫によって足元に空間をつくる
前述したJALのように、同じシートピッチでもシートのスリム化で足元が5cm広くなったものや、ANAのボーイング777や787の機材では、足元の空間を広くするために座席設計を工夫しています。
最前列や非常口付近は足元が広い
一般的に同じ普通席でも、最前列は前に座席がない分足元はかなり余裕があります。そのため一番早く埋まるため、最前列の座席は早い者勝ちとなります。(LCCは前方の座席を有料で販売しています)
また機材によっては、非常口付近も足元が広くなっています。(非常口付近の座席は利用条件があります)ただし、安全上の理由で非常口付近の座席はリクライニングが利用できない座席もあるので注意が必要です。
国内線飛行機の座席の広さは今後どうなる?
LCCの台頭で既存の航空会社のサービスが見直される
国内線は、LCCの台頭によって新たな競争のステージに突入していまず。既存の航空会社にとってLCCの格安料金は脅威となっていて、老舗の格安航空会社スカイマークなどは、LCCの躍進を受けて2014年3月期決算は5年ぶりの赤字。
JALやANAもマイルなどの施策で、ビジネスユーザーをつかんではいるものの、LCCが路線を拡大し定時運行するようになれば、うかうかしてはいられません。
今後LCCが、機材を増やし路線も増えてくればきちんとした運航体制がとれるようになるので、安さを求める多くのユーザーは一定数LCCに流れるでしょう。そうなると既存の航空会社は、安さとは別の価値(サービス)を提供する必要があります。より一層機内サービスを強化する航空会社と、シンプルなサービスで安さを追及する航空会社の2極化がより一層進むことが予想されます。
LCCはたくさん乗客を乗せることが安さにつながっているので、広いゆったりした座席は一機あたりの席数が少なくなるため提供しずらい。ですが海外では広い座席を提供しているLCCもあります。国内線のLCCも一般的になりLCC間の競争が激しくなれば、『2,000円プラスでちょっとゆったりした席』とかは登場するかもしれないですね。